2015年7月22日水曜日

逆風との戦い<強みを活かす>

逆風との戦いは、来年は今年よりも
必ず悪くなると予測し、他社もそれを
見越して何らかの手を打って来ると
覚悟して、その上手を行くような
戦略を考えなければならないんです。
「当たり前のことをやってたんじゃ
当たり前の結果しか得られない。
ならば、自分達の強みを最大限に
活かそう。」私はそう考え、
大改革に乗り出しました。

その劇団の強みは営業力でした。
社長が営業の叩き上げだったんです。
そこへ役者上がりの私が入ったことで
創造面の補強が期待されたんですが
それは一朝一夕には無理なことです。
費用対効果が目に見えにくい創造面の
強化は、それが不得手な社長を説得
するのに手間暇かかりますが、営業を
活かす策なら理解は得やすいです。
当時、何人もの営業マンが一斉に
全国に散らばって営業をするなんて
劇団は他にありませんでした。
結構な資金が必要ですから
よほど結果を出せる自信がなければ
出来ないことです。それが出来るん
ですから、その営業効率の向上を
真っ先にやるべきだと考えました。

その劇団は創立から10年、そして
私が入って2年、計12年間、一貫
して小学生だけを対象として公演を
していました。井の中の蛙は大海を
恐れるようで、私が中学生・高校生
向けの作品を製作したいと言うと
「本当に大丈夫なのか?」
という反応が返って来ました。
劇の質も高くなければならないし
営業の競争相手も手強い老舗が
がっちり地盤を築いているからです。
「作品は後づけでいいです。先に宣材
を作りましょう。私が小手調べして
来ます。」そう言って、企画だけ
立てて急ごしらえしたパンフを持って
小学校営業の合間に中学校や高校、
会館や教育委員会を営業しました。
小学校の先生には昼休みと放課後に
しか会えませんが、中学校や高校の
先生には授業のない空き時間があり
営業効率は格段にアップしました。
1公演の単価も高校は小・中学校の
2.5倍ありました。そして私は
すぐに結果を出すことが出来ました。

次にジャンルの多角化を進めました。
私がもし俳優との兼業であったなら
発想しなかったかも知れませんが、
俳優を完全にリタイアしていたので
自分が営業して売る作品は演劇で
なければならないという固定観念は
ありませんでした。小学校では1学期
は音楽、2学期は演劇を鑑賞していた
学校が、のきなみ行事精選で年1回と
なり、音楽と演劇を各年で鑑賞する
ようになっていました。これだけで
市場は半分になっちゃう。ならば音楽
の公演も手掛けて毎年売り込めるよう
にすれば良い。誰もが頭によぎるよう
なことを、すぐに実行したまでです。
更に、音楽でも演劇でも売り込める
作品としてミュージカルも製作し、
人形劇や影絵劇も製作しました。

中学校・高校では演劇・音楽・古典の
3年ローテーションだったので、古典
の作品も製作しました。要は営業の
強みを活かして、劇団を舞台芸術の
総合商社に変貌させた訳です。

公演収入は学校の生徒数によって
全く変わってしまうにもかかわらず
同じ規模(構成人数や車両台数に
よって決まる公演コスト)の作品を
公演していました。子供の数が増えて
いるならそれでもいいんでしょうが、
少子化ですから生徒数の少ない学校
への対策が求められます。小規模校
を営業の対象外としてしまえば
市場はますます小さくなるからです。
そこで、小規模作品と大規模作品に
分けて製作し公演することで
安定した利益率を確保しました。

そういう改革を6年間続け、鞄には
常時9作品以上の宣材を入れて
仕事が出来るようになり、市場の
しぼみを乗り越え、右肩上がり
の増収増益を成し遂げました。

経験則に捕われずに
思いついたことを実行した
それだけのことだと思っています。

To be continued

武内利之の「ザッツ・ライフ」
原則、毎週月・水・金の朝に更新。
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