相手を知ろうと心がけていれば
人生が変わるような気がします。
人はみな自分が話したいことを話す
もんですが、相手はこの話に興味が
あるかな?って考えられるかどうか、
それが相手を知る第一歩で、まさに
人生の分かれ目になる訳です。
演劇プロデューサーという職業は
俳優やスタッフとの意思疎通、作品を
売り込む営業力など、相手を知ること
がとても大事な仕事でした。
新人営業マンの多くは
覚えたトークをきっちりしゃべって
日報用紙を黒く埋め尽くして帰れば
仕事をしたような気になります。
「営業は説明屋さんじゃない。仕事を
取ってナンボだ。」と、いくら
教えても『取れるトーク』を理解し
実践できる人は、ごくわずかです。
私の話術は真似できないと、先輩から
も後輩からも言われましたが、それは
立板に水の、いかにも営業トーク
という喋りをしなかったからです。
顧客から「お話がお上手ですね~。」
と言われる度に反省し、たどたどしく
話すように工夫してました。饒舌は
相手に警戒感や不快感を抱かせる
危険性がありますから。私の営業は
その時々で何を話すか解らないから
真似できないんですが、要するに
相手を知り、相手に合わせた話が
出来るかどうかってことなんです。
その為に必要なのは最初の聞き込み
です。先に相手に話をさせれば会話が
弾みますし、相手の興味・関心を把握
した上でトークを展開しなければ
的外れに終わってしまうからです。
「去年の劇団さん、どうでした?」
と聞いて、相手が色々話し始めれば、
その言葉の端々にちゃんとヒントが
隠されてるんです。相手の興味は
テーマか、ストーリーか、演技力か、
料金か、セットや衣装の豪華さか…。
仮に料金を気にしてると読めば
「安いに超したことないですよね~。
ただ安かろう悪かろうじゃ困りま
すけどね~。今時はどこも安くして
ますから、先生も目利きが大変でし
ょう?でも、実際に見比べれば
『これで同じ値段?』ってぐらい
質の差は歴然なんですけどね~。」
と、自分の作品を売り込まず「今時
安くて当然、問題は中身。」的なこと
だけ世間話みたいに言って、相手が
何か言うまで黙ってるんです。
「おたく、そんなにいいの?」と
聞いて来れば、つかみはOK。
あとはまな板の鯉です。「そら来た!」
と焦って、機関銃を乱射するように
覚えたトークを全部言い切っても
相手の頭には残りません。
大砲を1~2発打ち込む感じです。
相手の食指が動く話だけして
「これがいい!」と思わせれば
勝負ありです。それも左脳に訴える
理詰めではなく、右脳に長く良い
印象が残るよう感性を刺激します。
他社も理詰めの引き出しは用意して
営業するでしょうから、差がつくのは
そこです。相手をウルッとさせたり、
自分も喋りながらウルッときたり…。
更に相手に成功のイメージを抱かせ
られれば最高です。子ども達が
泣いたり、笑ったり、感動したり、
拍手喝采したり、職員仲間からも
「〇〇先生、今年はいい劇団見つけ
ましたね~、今まで観た中で一番
良かったですよ~。」と口々に誉め
られる映像を頭に描かせる訳です。
私が即決で商談成立させる場面を
同行した新人営業マンが見て
「空気の色が変わって行くのが見える
ようだった。」と感動してました。
最初は「忙しいんだから、早く帰れ。」
と言わんばかりの態度だった方が
「もっと聞きたい。」という態度に
変わる瞬間、何十万円・何百万円の
作品選定を数分で決心させる瞬間、
最後には「いいお話を有難う。」と
感謝され、友達みたいになっちゃう…
これぞ営業の醍醐味ってやつです。
…これって、皆さんの私生活や
お仕事にも活かせる話でしょうか?
もし、聞きたくもない話を長々と
聞かせてしまったのなら
ごめんなさいネ…。
To be continued
武内利之の「ザッツ・ライフ」
原則、毎週月・水・金の朝に更新。
E-mail:
at-home-takeuchi@aqua.ocn.ne.jp
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