私は介護界に入って『優しい』と
言われることが多くなりました。
そんなはずはないのに、なぜ…。
子ども達に夢や希望を与える仕事を
長年してきたからでしょうか?
それだけでなく、自分の中に
ピーターパン・シンドローム的な
マインドが未だに
あるからかも知れません。
実は私、二十歳そこそこの頃
「ピーターパン」というミュージカルを
鑑賞して、人生を左右するような
アッと驚く決めゼリフと
出逢ってしまったんです。
ネバーランドでの冒険から時を隔て
再び子ども達のもとへやって来た
ピーター。しかし、その時すでに
ウェンディは大人になりかけていて
飛ぶことができなくなっていました。
ピーターはきっぱりと言い放ちます。
「僕は大人になんかならないよ!」
「なれない」ではなく「ならない」
『運命』ではなく『意志』なんです。
私はボロボロと涙を流し
終演後しばらく座席から立ち上がる
ことができませんでした。
大人になる…
世の中の常識を身につけなければ
社会人として生きて行けない
そのために『こどもごころ』を捨て
矛盾と欺瞞に満ちた大人の仮面を
かぶらなければならない…。
でもピーターは、それを拒否して
永遠に子どものままで
永遠に飛ぶことができて
永遠にネバーランドに行けて
永遠にフック船長をやっつけられる!
私は32歳で役者をリタイアし
プロデューサーに転身しました。
大人にならざるを得ない人生が
そこから始まった訳です。それに
劇団員の生活がかかってますから
『優しさ』より『厳しさ』が必要です。
『厳しい人』の方が私を形容するに
相応しい言葉だったと思います。
かつて、演劇学校の同級生で
今は著名な演出家になっている方が
当時、私にこう言いました。
「人よりいい仕事をしようと思ったら
人より睡眠を減らすしかない。」
でも私は、睡眠不足に滅法弱いので
せめて起きてる時間だけは
全力投球しなければならないと
言い聞かせて生きてきました。しかし
幸いなことに、児童・青少年演劇
という分野に身を置いたために
『こどもごころ』を心の片隅に置いて
時折それを使うこともできたんです。
それは介護の仕事にも活かされ
それ故に私が『優しい』という錯覚を
起こさせるのかも知れません。
私は二重人格なんでしょうかね?
武内利之の「ザッツ・ライフ」
原則、毎週月・水・金の夜に更新。
E-mail:at-home-takeuchi@aqua.ocn.ne.jp
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