「誰でもいいから殺したかった」
それを聞いてもさほど驚かないくらい
頻繁に聞く言葉になってしまいました。
この種の事件が起こる度に私は
2つの出来事を思い出します。
今から18年前、1996年11月下旬に
『たまごっち』という玩具が発売され
その半年後の1997年5月下旬に
神戸での校門バラバラ死体事件
『酒鬼薔薇聖斗』事件が起きました。
バーチャル・リアリティーによる
ペットの育成。失敗すればリセットして
やり直し。生きたペットの育成とは
かい離した世界…。何か嫌な予感が
していたところに起きた前代未聞の
殺人事件。あまりのタイミングに
強い衝撃を受けました。
14歳の中学生が小学生男女を
次々に殺害し、死体を遺棄、
犯行声明文を口にくわえさせる
というマフィアまがいの残忍な
手口で世間を驚かせました。
「さあゲームの始まりです」で始まる
声明文の饒舌さと、精神の幼稚さの
コントラストが際立っていました。
犯人の部屋から多数の漫画本や
ホラームービーが発見されたとのこと。
私の想像に過ぎませんが、おそらくは
テレビゲーム機やそのソフトも数多く
所持していたのではないでしょうか。
生き物を殺傷することにより性的快楽
を得る快楽殺人との説明がありますが
私は、それだけ?と疑問を持ちました。
攻略本さえあれば思い通りになる
失敗すればリセットしてやり直せる
バーチャル・リアリティーの世界で遊び
漫画やビデオによって命を軽視する
思想が焼きつけられて育った子ども…
行きつくところは非人道的な犯罪…。
そう感じた私は、その頃から
『青い鳥』という普遍的名作の
現代版を舞台化することを
考え始めました。すると、
私の予感を裏づけるかのように
いわゆる『切れる』現象が起こり
子ども達が同級生や先生を
いきなり刺すという事件が
相次ぐようになりました。
そして、いじめを苦にした自殺も
あちこちで起こり、命の価値が
日に日に軽くなって行きました。
神戸の事件から7年後の2004年に
私は小・中学生向けのミュージカル
『青い鳥・21世紀バージョン』という
作品を発表し、北海道から鹿児島まで
6年間のロングランを実施しました。
テレビゲームに浸りきった兄妹が
ゲームの世界にワープしてしまい
そこで幸せの青い鳥をゲットするまで
元の世界に戻れなくなってしまいます。
思い通りになるはずのバーチャルな
世界で悪戦苦闘し、その世界に住み
ついてしまった謎の男に追いかけ
回されるという悪夢のような話です。
思い通りにならない現実の世界で
心を鍛えて行かなければ
幸せを得る方法は見つからない
子育て中の方々は是非それを
子どもさんに伝えてほしいです。
武内利之の「ザッツ・ライフ」
原則、毎週月・水・金の夜に更新。
E-mail:at-home-takeuchi@aqua.ocn.ne.jp
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