私は13年ほど前、
子どもの『切れる』現象が
社会問題になっていた頃
「青い鳥・21世紀バージョン」
という小中学生向けの
ミュージカルを発表しました。
テレビゲームばかりやっている
小学生の兄妹が、テレビゲームの
世界にワープさせられ、青い鳥を
ゲットしないと元に戻れなくなる…
という話でした。メーテルリンクの
青い鳥には、思い出の国で祖父母に
逢うシーンがありますが、現代では
平均寿命が延びたので、孫が小学生の
うちに亡くなる祖父母は少ないです。
そこで私の青い鳥では、自分の命と
引き換えに川で溺れそうになった
子どもを助けた父親と逢うシーンに
しました。そういう話はニュースで
よく聞く話だったからです。
思い出のステージに現れた父親に
子ども達は言います。
「お父さん、何で死んじゃったの?
あの子を助けなければ、お父さん
死ななくて済んだのに!」
父は言います
「すまん。でもな、父さん、ちっとも
後悔してない。あの子を助けたいと
思ったから助けた、それでいい。
助けなかったら、きっと後悔してた
だろうからな。」そして
思い通りになると思っていた
ゲームの世界が思い通りにならず、
悪戦苦闘していた子ども達に
父は言います
「思い通りにならないから、
生きることは面白いんだよ。」
小中学生には難しいテーマかも
知れませんが、バーチャル世界に
浸かりきった子どもが現実世界に
戻れなくなるという話のリアリティ
は伝わるのではないかと考えました。
私は、子供向けの作品だからと言って
子供騙しの作品は創作したくない、
真正面から、大真面目に、全力で
メッセージを伝えたかったんです。
世の中の人に聞けば、ほとんどの人が
「思い通りになった方がいいよ。」
と言うでしょう。私とて同じこと。
でも、思い通りにならないことを
思い通りになるように頑張っている
時こそ、人は燃え、輝き、
人に共感させ、感動させ、思いが
叶った時の喜びも増すと思うんです。
生まれながらの天才・富豪、その他
一見順風満帆に、あるいは何不自由
なく暮らしているように見える人
でも、実は思い通りにならないことを
思い通りにしようとしながら
生きているのではないでしょうか。
あの天才と言われたモーツァルト
でさえ、思い通りにならないことは
たくさんあり、だからこそ生まれた
素晴らしい作品たちなんですから。
恐縮ではありますが、今日は
「幸せになる権利は誰にでもある」
に続く私自身の2つ目の言葉として
「人生は
思い通りにならないから面白い」
という言葉を
新年の初めの言葉として
ご紹介させて頂きます。
今年も皆さんとともに、大いに
面白く生きて行きたいと思います。
Let’s do it !
武内利之の「ザッツ・ライフ」
原則、毎週月・木の朝に更新。
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