2015年2月25日水曜日

煙(ケム)にまく

かつて自分は
ある宗教団体のリーダーをしていて
自分の号令で何千人もの人が
動いたのだと自負する人がいました。
芸術家にしては珍しいほど
妙に腰が低く愛想がいいかと思えば
人を舐めた対応をすることもある
不思議な方でした。

その方と話をしていると
最後には相手を自分の考えに
同意させなければ気が済まない
という執念を感じました。と言うより
同意するまで何時間でも
話し続けるので、こちらが
根負けしてしまうんです。
最初は何の話から始まったのか
思い出せないくらい
ああでもない、こうでもないと
話し続ける才能は大したもので
もう何がどうなろうと
かまわないから、とにかく
早く終わらせたいと
思ってしまうんですね。

煙(ケム)にまくってやつです。

町内会の寄合ならいざ知らず
仕事がそれでうまく行くと
思っているところがまた
その方の凄いところで
どうやら世の中の人は
洗脳する人と、される人の
2種類で構成されていると
そんな風に思い込んでいらっしゃる
そして、自分にかかれば容易に
洗脳されてしまうような馬鹿ばかり
だと勘違いしていらっしゃるように
感じられました。

愛知県の出身なので
『上司は信長のごとく
部下は秀吉のごとく』を
理想としているのではないかとも
感じられました。ですから
妙に腰が低く愛想がいいかと思えば
人を舐めた対応をする所以は
上司に気に入られて出世する秀吉が
顔を出したり、明智光秀を舐めた結果
しっぺ返しを食らう信長が顔を出し
たりってことなのかも知れません。

猿山のお猿さんのように
人間関係の序列を常に意識していて
「仕事は力関係が大事だ。こっちが
仕事をくれてやってるんだから
役者には甘い顔をするな。」と
事あるごとに言ってました。
でも、その言葉を聞かされていた
一番身近にいて優秀だった人々が
あっという間に離れて行きました。

しかし私は、その方のお陰で
10年間に8作品を世に出し
プロデュースや営業だけでなく
原作や作曲を手掛けるなど
思う存分働かせて頂きました。
そして一生の思い出を
胸にしまうことができました。

感謝しています。

武内利之の「ザッツ・ライフ」
原則、毎週月・水・金の夜に更新。
E-mail:
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