2014年12月3日水曜日

音楽の先生

私は個性的なK先生に誘われて
小学校5年生の2学期から
田舎の学校に通い始めましたが
そこでもう一人、個性的な先生と
出逢うことができたんです。
ピアニストの中村紘子さんが
子どもの頃にピアノのレッスンを
してあげていたという
音楽専科のO先生です。

音楽の時間に
私たちが音楽室に行くと
O先生が何だか難しそうな曲を
ピアノでガンガン弾いているんです。
授業では作曲法を教えてました。
中学生にも高校生にも
絶対に教えませんよ、普通は。

1学期に1回は歌とか縦笛とか
実技のテストをするんですが
演奏が終わるとすぐに
74点とか81点とか
点数を言うんです。
その細かい数字は何なのか
良く解らないんですが
何でも、大人と同じ基準で
点数をつけてるんだそうです。

つまりO先生のポリシーは
『子どもを子ども扱いしない』
ってことだったと思います。
自分のお子さんにも、来日中の
超有名ピアニストに何万も払って
レッスン受けさせ、自分も受けて
来たって言ってました。

ある日、O先生が
アコーディオンバンドを
立ち上げるためのオーディションを
開催しました。私は
父がジャズドラム奏者だったので
スネアドラムの実技で一発合格し
その一員になりました。
朝礼や運動会などに駆り出され
演奏するんですが
そのレッスンが厳しいこと!
小学生相手に大の大人がマジに
怒るんです。もう、泣く子続出…

私が6年生の秋に
練馬区の音楽会があり
猛特訓してたんですが
私は本番の数日前に
盲腸になっちゃったんです。
幸い薬でちらして参加して
私達は素晴らしい評価を
得ることができたんですが
盲腸の知らせを聞いた0先生は
我家に駆けつけ、こう言われました。

「気にすることはないよ。君が出られ
ないなら欠場するまでだ。」って。

アコーディオン奏者は大勢いました
が、スネアドラムは私1人でした。
「君のドラムがなければ演奏は
成立しない。だから欠場する。」
頑張ってきた他の児童のことを
思えば、なかなかできない決断です。

子ども心に
『本物』の凄味が焼きつきました。
ごまかしはきかないのだと…。

大人でも、子どもでも、
『本物』と出逢うことは
いいことですよね。

武内利之の「ザッツ・ライフ」
原則、毎週月・水・金の夜に更新。
E-mail:
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