2015年5月18日月曜日

時を忘れて味わう

「早く食べちゃいなさいよ!」
女性が夫や子どもに、つい言って
しまうことってありません?
買い物~調理~食事~片付けという
家事の中の1コマとしての食事
サッサと済ませてくれないと
決まりがつかないでしょ!って
家畜の餌やりじゃあるまいし
味気ないですよね。

人間が調理という技を会得したのは
『食べる』という行為が『味わう』に
進化したから、でしょ?
『見る』とか『聞く』なんて行為も
『鑑賞する』に進化して、目や耳で
『味わう』文化が発達した、でしょ?
だから『生きる』ってのも
『人生を味わう』ってことじゃなきゃ
いけない訳ですよ。ね!

これまでの私の人生は
演劇という道を歩むことによって
味わうことの出来た幸せが
いっぱいあった代わりに
家族にとって最も大切な
子育て期のほとんどを
旅の空の下で暮らさねばならない
人生でもありました。

介護の世界に入ると、同時期に
子ども達は独立し、妻と私は
お互い自分の領域を大切にする
ライフ・スタイルになっていました。
それまで演劇と音楽のことばかり
考えて生きて来た私の
心のキャンパスに大きな空白ができ
それを埋めるために色んなことを
始めたような気もします。

人生の残り時間が少ないという
焦りがあったことも否めません。
頭も身体も動くうちに
出来ることはどんどんやろうと
眠る時間以外は
ギューギュー詰めにしてきました。
そのために
早回しでテレビを観る
1回の調理で3食分の食事を作る
食べたらすぐに食器を洗い上げる
風呂に入ったら
出る前に風呂掃除をしてしまうなど
とことん生活の効率を上げて
時間を捻り出すようになりました。
まさに家事の1コマを
消化するがごとくですね…。

しかし一方で、以前のように
じっくり芸術を鑑賞するとか
郊外へ出てゆっくりするとか
そんな風に人生を味わう時間が
ほとんど無くなってしまいました。

捻り出すのはいいんでしょう。でも
捻り出した時間をいかに使うか
そっちの方が大事ですもんね。
地に足の着いた生き方
考えたいですね。

浦島太郎のように
『時を忘れて味わう』ことも
たまにはいいのかも知れません。
気づいた時にはお爺さん
それもまた良しなのかも知れません。

Because, that’s my life !

武内利之の「ザッツ・ライフ」
原則、毎週月・水・金の夜に更新。
E-mail:
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