2015年9月7日月曜日

声優

私は、高校卒業後の2年間、
演劇学校に通いました。そしてその
2年間を終えようとしている頃に
ミュージカルへの出演オファーを
頂きました。無名の新人を抜擢する
のは異例なことですが、少年役という
ことで、若くて初々しい俳優がいいと
いう演出家の意向のようでした。
セリフも出番もたくさんあり
ソロのミュージカル・シーンもある
新人俳優にとっては大役でした。

その公演を観に来て下さった、今は
亡き相米慎二さん(後に薬師丸ひろ子
さん主演の「セーラー服と機関銃」を
監督)が楽屋に私を訪ねて下さり
映画への出演オファーを
下さいました。『星空のマリオネット』
という、今は亡き三浦洋一さん主演の
映画で、相米さんはそのチーフ助監督
をされていました。これは2シーン
しか出番のないチョイ役でしたが
やらせて頂きました。

そしたら、相米さんがTBSラジオの
ディレクターさんを紹介して下さり、
私はラジオドラマの仕事を頂くことに
なりました。『エコエコアザラク』
というマンガをラジオドラマ化した
平日の毎夜5分間の番組でしたが、
録音は2時間ほどで5本分とって
しまいます。でもギャラはあくまで
1本幾らですから、たった2時間の
収録で結構なお金が頂けました。
その収録が毎週1回ある訳ですから、
バイトで食いつないでる下積み
俳優には夢の様な仕事でした。

さらに夢心地だったのは
『一休さん』や『フランダースの犬』
などで当時乗りに乗っていた
藤田淑子さんが主役。その他にも
「流星号、応答せよ!」というセリフが
懐かしい『スーパージェッター』の
カオル役をしていた松島みのりさん。
『ぶらり途中下車』のナレーションで
お馴染みの、今は亡き滝口順平さん。
TBSラジオの人気アナウンサー
小島一慶さんがナレーションという
声優界の大スターの中に
自分がいたってことです!

有名な声優さんが多数所属する
芸能事務所のマネージャーさんが
「うちへ来ないか?」と誘って
下さったんですが、俳優を志して
演劇学校を卒業したばかりでしたし、
トントン拍子に仕事をもらって
いましたので、声優になる決心は
その時はつきませんでした。

事務所所属の声優さんは事務所に
ピンはねされて、月給として頂くんで
しょうが、私はフリーでしたので
ギャラを手渡しで、ピンはねなしで
頂きました。ところが不思議なことに、
ディレクターさんが毎回着いて来て、
私がギャラ袋をもらうところを横で
見てました。そして、1クール
(3ヶ月間)の仕事を終えると、
それっきり、次の仕事は頂けません
でした。でも、仕事を頂けなくなって
しばらくしてから「そうか~。」って
思いましたよ。20歳の私にキック
バックは思いつかなかったです…。

However, that's my life !

武内利之の「ザッツ・ライフ」
原則、毎週月・水・金の朝に更新。
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