劇団営業は公演日程を組む仕事です。
旅公演が多く、旅先での空き日は経費
倒れになるので、毎日公演をしながら
移動する日程を組みます。でも、相手
のあることなので、安い仕事が先に
入り、後から高い仕事の依頼が来る
ことも多く、そんな時は先約の顧客に
何とかお願いして日程を変更して
頂きます。それを「移動する。」とか
「移動をかける」とか言ってました。
営業叩き上げの社長のポリシーは
「移動は3回までかけられる。」で、
例えば26日に安い仕事が入ってて
その日希望で高い仕事の依頼が来た
ら先約を28日に移動して入れる。
その後28日希望で高い仕事の依頼が
来たら30日に移動して入れる。更に
その後30日希望で高い仕事の依頼が
来たら別の日に移動して入れる…。
3回も移動させられた顧客はカンカン
に怒りますが、それでもそうやって
ギチっと日程を組めと教わりました。
お辞儀は一度に90度曲げてはダメ、
30度ずつ下げて行けって、意味
解ります?電話の相手にお辞儀が
見える訳ないんですが、物の例えで、
1回目の移動の時から平身低頭謝って
しまうと、2回目、3回目は謝り
づらくなるという、人を食った理屈を
大真面目に唱えてました。
私は、移動は1回までにしたかった
ので、大量のストックが必要でした。
ストックとは作品を候補に入れて
くれた見込み客のことで、社長は倍の
ストックを作れと指導してました。
100日分の仕事を作るなら200の
ストックが必要だという教えです。
私は4倍のストックを作りました。
早い段階から安い仕事をガツガツ
受けずに平均売り上げを上げる為、
日程がカチ合っても強引な移動を
かけず「先約がありますので…。」
と、断れる余裕を作る為。そして
ダブルスコアの数字を作る為に。
しかし、40社以上が競合する中で
候補に入れて頂くだけでも容易なこ
とではありません。1日10人と会い、
そのうち2人が興味を示せば200日
で400のストックが出来ますが、
のらりくらりした相手のフォローに
何週間も費やせば、動機も記憶も
薄まってしまいます。そこで私は、
まずは即決を目指しました。それが
無理なら、なるべく早く相手から電話
が来るようにしました。しっかり動機
づけしといて「早く予約しなきゃ希望
日程は取れませんよ。」と伝えます。
要は、相手のペースでなく、こちらの
ペースで仕事をする訳です。
営業力とは
自分のペースに引き込む力
と言い換えてもいいかも知れません。
『4倍ストック』が営業マンとしての
私の第二の哲学となり、
コツコツと足で稼ぐことを
決して怠りませんでした。
数字は嘘をつきません。
To be continued
武内利之の「ザッツ・ライフ」
原則、毎週月・水・金の朝に更新。
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