17年程前に私は「思い通りにならないから
楽しく生きられる。」というテーマの子ども向け
ミュージカルを創作し、北海道から鹿児島まで
7年間で1000ステージ以上公演しました。
「青い鳥~21世紀バージョン」という題名で、
小学生の兄妹がテレビゲームの世界にワープし、
抜け出すことが出来ずに散々苦労する話でした。
酒鬼薔薇聖斗事件や、切れて先生や同級生を刺す
子どもが続出して、何かゲーム世代に共通する
危うさがあるのでは、という仮説が私の頭から
離れなくなったんです。攻略本さえあれば思い
通りに操れるゲームに幼い頃から浸り切って、
思い通りにならないことへの対処法を学ばずに
育ってしまったら…。そればかりか、現実と
仮想現実の見境がつかなくなってしまったら…。
と考え始めました。
思い通りになるはずのゲームの世界に自分達が
放り込まれ、思い通りにならない経験を重ねる
ことで、仮想現実ではなく現実の世界でしか
青い鳥は見つからないと悟る。そのためには、
思い通りにならないことを思い通りになるよう
に粘り強く努力しなければならない。実はその
努力こそが生きる証であり、楽しみなのだという
ことを伝えるミュージカルで、子どもにはやや
難しいテーマを楽しく観せて好評を博しました。
メーテルリンクの青い鳥では、チルチルとミチル
は思い出の国で、亡くなった祖父母と再会し、
ご馳走をお腹一杯食べさせてもらいますが、私の
青い鳥では、川で溺れかけた子を自分の命と引き
換えに助けた父と再会します。父は言います。
「思う通りにならないから楽しく生きられる。」
その言葉をきっかけに、兄妹は困難に立ち向かい
見事ゲームの世界から抜け出すことが出来ます。
私は今でも、そう思って生きています。もし何も
かも自分の思う通りになってしまったら、人生は
何とつまらないことかと。目の前のハードルを
乗り越えようとする熱こそが生きるエネルギー
なのだと。けれども、思い通りにならないことに
直面した時、人はそこから逃げ出してしまいたい
ほど、辛くなることも知っています。ここ数年、
私は老いとともに思い通りにならないことが
多くなり、その度にネガティブになり、憂鬱な
気分に陥ります。小さなミスを気に病んだり、
不確定要素に対する不安が強く、若い頃の私とは
別人のようです。若い頃は将来なんて不確定要素
ばかりだったにもかかわらず、さほどネガティブ
にもならずに生きていられましたからね。今は
素晴らしい会社で働くことができ、素晴らしい
楽器を吹くことができ、我が世の春を謳歌して
いるような状況ですが、いまひとつ喜びが爆発
しませんね。淡々としたもんです。
子どもにはやや難しいと思ったテーマは、理屈を
理解することが難しいだけでなく、その発想を
受け入れることが難しかったかも知れないと、
今更ながら思います。誰だって、思い通りになら
ないより、思い通りになる方がいいに決まって
ますもんね。「思い通りにならないから楽しく
生きられる」ということは、自分を客観視して
理屈として理解することであって、その真っ只中
にいる者の感情としては「苦しい」が本音かも
知れません。でも、やっぱり私は言いたい、
今は観客にだけでなく、自分に対しても!
そして、ほんのかすかな希望の星を見つめて
歩んでいる人々にも!
思い通りになることより、
思い通りになるように頑張ることが
楽しいのだ!それこそが私の生きる証、
Because, that’s my life !
名もなき親爺が人生を語る世にも不思議なブログ
武内利之の「ザッツ・ライフ」日曜の午前に更新
0 件のコメント:
コメントを投稿