まだ息子が幼かった頃
私は息子と一緒に
よく近所を散歩したものです。
私の息子は寄り道が好きで、
あちこちで立ち止まり、しゃがみこみ、
遅々として進まないのが常でした。
道端にしゃがみこんで、
石をいじっている息子を見て
「何が楽しいんだろう?」と思いましたが、
「本人が楽しいなら、いいじゃないか。」と思い、
私もしゃがみこみ、
石をいじくる息子の指先を見つめていたものです。
そのせいかどうかは解りませんが、
今30歳になる息子は私に似ず
おっとりとして屈託のない
誰からも愛されるような人間に育ったと、
親バカかも知れませんが
そう思っています。
子どもが大好きな私はいま、たくさんの子ども達と
接することのできる仕事を得て
幸せな日々を送らさせて頂いています。
介護の仕事の中に移動支援というのがあって、
A地点からB地点までの移動を安全に行う、
あるいは自宅を出て目的を果たし
帰宅するまでの移動を安全に行うための支援です。
そうした支援を行うにあたり
サービス提供責任者は、利用者さんやご家族、
そして相談支援専門員さんのご意向を受け、
移動支援計画書というものを作成します。
そこには長期目標や短期目標を書き込む欄があり、
実現可能な目標を期限を切って掲げます。
移動支援のための目標ですから、
当然、移動にまつわるエトセトラ
ということになります。そして、
障害福祉の1丁目1番地である「自立」
という概念から逃れることもできません。
しかも利用者さんが子どもの場合、
計画書の内容には
主に親ごさんのご意向が反映されるので、
長期目標:安全な登下校を維持しつつ、
自立に向けて課題を克服する。
短期目標:信号遵守が出来るようになる。
などと書かれる場合が多いです。
長期目標:おっとりとして屈託のない、
誰からも愛されるような人間に育つ。
短期目標:好きなだけ寄り道して、石をいじくる。
などと書かれることはありません。
子どもが大好きであるが故に
つい親のような気持ちで
その子の将来像まで考えてしまう私は、
この仕事にあっているようでいて
実はあっていないのかも知れません。
様々な制約がある中の「仕事」であるために
常に矛盾や不満を抱え、
その悩みから解放されるためには
「仕事だと割り切る」しかないからです。
それでも私は、
利用者さんやご家族とともに
将来像についての思いを共有しながら
仕事をしてみたいんです。
それが、私が大切にしている
「プラスアルファー」です。
名もなき親爺が人生を語る世にも不思議なブログ
武内利之の「ザッツ・ライフ」日曜の午前に更新
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