先輩から譲り受けたクラリネットがあります。
歴史の扉を開けるような心持ちで、そっと蓋を
開けました。ちゃんと居ました。「オー!」
思わず声が出ました。44年ぶりのご対面です。
恋人だったら、お互い気づかずにすれ違っちゃう
かも知れませんね。
とりあえず、マウスピースとリードを消毒して
組み立ててみました。「オー!」ちゃんと組み
立てられました。小さい!思ってたよりも楽器が
小さく見えます。故郷に帰ると場所が狭く感じる
ってことはありますが、私がクラを吹いてた頃は
私の身長はほぼ伸び切ってたから、小さく感じる
訳ないんですけどね。むしろ、イメージより
大きく感じるかと思ってたのに、不思議です。
まずはロングトーン。初めてクラを吹いた時と
同じような音しか出ないかもって思ってたら、
意外に出ました。次にスタッカート。これは
まるでダメ。スタッカートが難しいなんて初めて
知った、ってか忘れてたのかも知れませんね。
次は指の動き。モーツァルトのクラリネット協奏
曲のド頭を吹いてみたら、まあまあ動いたけど
「ラ」と「シ」の変わり目が上手く行きません。
これはクラの特徴でもあります。指を全開放でラ
のキーだけを押さえた状態から急に全封鎖する
ので、多少慣れてからでないと滑らかに演奏する
のは難しいんです。未完成第2楽章の中盤のクラ
ソロを吹いてみたら結構いけたけど、ブレスが
続きませんでした。田園第1楽章ラストのクラ
ソロを吹いてみたら、リードミスばっかでキー
キー言わせちゃいましたよ!30分足らずで、
もう口の周りの筋肉が疲れちゃいました。高校生
の頃は、1時間はぶっ続けで吹いていられたん
ですけどね。
リードミスが44年間のブランクのせいなのか、
楽器のせいなのか解らないので、修理屋さんに
行って見てもらいました。大久保駅の西側にある
修理屋さん、私が高校生の頃は道を挟んで2件
あって、畳にあぐらかいて修理してましたよ。
今は1件で立派な楽器屋さんになってました。
でも修理部門がお休みだったので、新大久保駅の
かなり東にある修理屋さんへ行きました。新大久
保駅の東側は若い女の子達と外国人でごった返し
てて、歩道を歩いても遅々として進まずくたくた
になりましたよ。ここにこんなに女子がいるなら
世間の男子はどこで何してんだって、余計なこと
考えちゃいましたよ。
幸い、その修理屋さんはやってて、若い方と年配
の方がいて、色々ていねいに教えてくれました。
若い人が楽器を一目見て、上手く吹けない原因は
「楽器です。」って言ってくれました。タンポや
コルクを全取っ替え、要はオーバーホールした
方が良いと。料金聞いたら5万弱って言われて、
それが高いか安いか私には全く解りませんが、
新品を買うより安いことは解りました。そんな
こともあろうかと「吹くぞ!」と決めた5月から
コツコツ貯金してたので、さほど狼狽えることも
ありませんでした。年配の方が「この楽器は
フランス製で、17~8万、中古でも10万位は
しますよ。」って教えてくれたので、迷わず修理
をお願いすることが出来ました。仕上がるのは
2週間後。今度はどんな音が出るか楽しみです!
貧しい私が、それだけの金をかけて修理しよう
ってんだから、本気なんですよ!
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武内利之の「ザッツ・ライフ」日曜の午前に更新
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