2025年6月22日日曜日

拠り所となる使命感

今年2月8日に行われた災害対策に関する輪中会

議で、私はケアマネの立場で講演を行いました。

私はBCPの専門家ではありませんし、災害時対応

の経験が豊富な訳でもありませんので、日頃事業

所で行っている訓練についてご説明させて頂き、

若干の所感を述べさせて頂きました。今、輪中会

議全体を振り返り、自分は介護者としていったい

どれだけのことができるだろうかという、無力感

に似たものを感じます。


私はケアマネとして働いているので、利用者さん

の安全確保について考えるようになった訳ですが、

個人としてなら、職場、自分と家族、せいぜい向

こう三軒両隣ぐらいの心配をしていれば良いので

しょう。ですから、職業人として自分が求められ

ていること、果たさねばならない使命は何かとい

う根本のところを考えねば、思考が先に進みませ

ん。例えば自衛隊員なら危険な場所から救出し安

全な場所へ移送、必要な物資を届ける。救急隊員

なら、病人や怪我人を一刻も早く病院または医師

のいる避難所に送り届ける。医師や看護師なら、

病気や怪我の治療をする。役所の担当職員なら、

様々な情報発信、連絡調整など多岐にわたるで

しょう。そして共通の目的は、少しでも生存率を

上げるということなんだと思います。


では、介護は?


利用者さんの多くが高齢者、中には若くして難病

や障害を持たれている方もいます。自力で避難で

きないだけでなく、生活することすらできない方

もいらっしゃいます。ですからそのような方々が

困らないような対策が必要です。しかし当然のこ

とですが、大災害が起きた時はまず自分や家族の

安全確保が最優先。そして利用者さんの安否確認

や救助をしたくても、電話は繋がらない、道路は

冠水して人も車も通れないという状況になったら、

ケアマネとして何ができるでしょうか。


備えることが大事!


自衛隊員、救急隊員、医師、看護師の方々は現場

で人々を救う活動をされますが、ケアマネが現場

に行ってできることは限られています。ですから、

災害が起きてからではケアマネはほぼ無力だと考

え、災害が起きても利用者さんが困らないように

事前にシミュレーションして備えておくことが大

事だと思います。そして、できればケアプランに

災害時の対策を盛り込み、担当者会議で確認する

と良いでしょう。


私はたまたま知人からのお誘いで輪中会議に参加

しましたが、NPO法人が中心となり行政を含む

多職種で災害対策について考えておられる集まり

があることを知り、感動しました。皆さんそれ

ぞれの仕事を持ちながら自分に何ができるかと

自問自答し、情報交換し、提言をしておられま

す。果たして、職業人としての使命感だけで

そのような活動が継続されて行くものでしょう

か。大災害という生存の危機に直面した時に

他者のために最善を尽くそうとするなら、その

人は職業人を超え人間個人として持っておられ

る使命感が拠り所となって動かれるのではない

かと、私は感じます。介護業界でもBCP対策が

進められていますが、それを実効性のある対策

として機能させるには、職業人としてだけでは

なく人間個人としての使命感を伝え広げて行く

ことが、この活動の本質ではあるまいか、その

ように感じた次第です。


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武内利之の「ザッツ・ライフ」

 

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